2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

第2回 読書について

朝日出版社第二編集部ブログに「ブックガイド――書物の海のアルゴノート」の第2回を寄稿しました。 前回は前口上でした。今回から、ブックガイドを始めます。 最初のテーマは、「読書について」です。読書や書物を巡る環境が多様化している昨今、いまいちど「…

大風呂敷を広げる

★『吾輩は猫である』を学術バトル小説として読む これまた明治期の文章ですが、漱石の『吾輩は猫である』をじっくり読み解くということを、そのうちこの場所でやってみたいと思っています。そのつもりで読んでみると、あの小説は一種の「学術バトル小説」と…

連載第8回「「百學連環」とはなにか?」

一冊の書物なり文書に向き合って、じっくり腰を据えて読む。これは、読書の楽しみの一つでもあります。 目下、西周の「百學連環」という講義の記録を座右に置いて、週に一度のペースで少しずつ読み進めているところでした。 前回までのところ、文書の周囲の…

ゲームデザイン・ゲストレクチャー

もうひとつ、似たようなお話を。 2011年06月09日、シリアスゲームの研究で知られる藤本徹さんが担当されているSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の講義にお邪魔します。 ゲームデザインについてお話をさせていただき、参加者の皆さんにもゲーム制作を実…

山本寛×山本貴光講演会

来る2011年06月05日(日)10時半より、一橋大学内兼松講堂にて、映像作家の山本寛(やまもと・ゆたか)氏をお迎えしての講演会が開催されます。 山本寛(ヤマカン)氏といえば、『らき☆すた』(2007)、『かんなぎ』(2008-2009)、『フラクタル』(2011)を…

科学のアンソロジーを考えてみる(2)

「科学のアンソロジーを構想する」という空想企画について、つらつらと考えています。 ここで「科学のアンソロジー」と言う場合の「科学」には、もっぱら二つのものが含まれています。 第一は、近代以降「科学」と呼ばれるようになって独立した学術の領域で…

連載第7回「総論の構成 その5「真理」(後半)」

さて、今回でようやく「百学連環」の「総論」について、目次を見終わります。 項目を一つずつ見ながら、思い浮かぶ疑問などを書き留めてきたので、意外と時間がかかりました。 しかし、繰り返しになりますが、これから込み入った書物を読み始めようという場…

フロッタージュとコラージュを実践する

自主ゼミは、前回からシュルレアリスムについて考えているのでした。 今回は、参加者の1人、長名大地さんのご提案で、マックス・エルンストなどが実践していたコラージュやフロッタージュを、われわれも実際にやってみることにしました。 アンドレ・ブルトン…

第5回 モンタージュ――異なるものをつなぐ技

第5回目となる今回は、前回の補足として、「潜在性」に関するアリストテレスの『形而上学』における考察を紹介してから、次のテーマである「モンタージュ」に進みました。 モンタージュ(monatage)とは、フランス語で言う、機械などの組み立てのこと。映画…

その3:バタイユのinforme(承前)

「形」について理解を深めたく思いたち、二冊の書物を手がかりにしようとしているのでした。 ★Henri Focillon, Vie des formes, suivi de Eloge de la main, 1934 アンリ・フォシヨン『形の生命』(杉本秀太郎訳、岩波書店、1969; 改訳版、平凡社ライブラリ…

ブログの左側

当ブログの左側を、少し整備しました。新しく追加した要素は次の通りです。用のある方は、ほとんどいらっしゃらないと思いますが、念のためお知らせいたします。 連載中 雑誌やウェブでの連載原稿のお知らせです。目下は三つの連載があります。 準備中 制作…

連載第6回「総論の構成 その4――「真理」(前半)」

引き続き「百学連環」講義の目次を見ています。「いつまで目次ばかり眺めているのか? はやく本文に取りかかりたまえ」と感じている方もいるかもしれません。しかし、或る書物をじっくり読もうと思う場合、目次と索引は、事前にしっかり眺めておくのが得策で…

手段を複数化すること

最近、当はてなダイアリーへのアクセスにしばしば失敗するということが続いています。私が使っているブラウザ(Google Chrome)との相性などの問題かもしれませんが、以前には見なかったほど、よくアクセスに失敗するのです。自分のブログながら、自分で自由…

シュルレアリスムについて

今週から、一橋大学の大学院生有志との自主ゼミが、本格的に始まりました。 初回のテーマは「シュルレアリスム」とのことで、私から前座として教科書的な整理を申し上げ、ああでもないこうでもないと議論を進めたのでありました。 話し合っているうちに焦点…

第4回 潜在するもの/顕在するもの(続)

第4回は、前回に引き続き、「潜在するもの/顕在するもの――コンピュータ・グラフィクス」というテーマでの検討をしました。 コンピュータを用いた映像で特に興味深いのは、リアルタイムで生成される映像です。コンピュータ・ゲームは、その分かりやすい例で…

その1 ゲームはモンダイの塊

ゲーム開発の現場から、ゲーム開発の教育の場へ移ってみて5年ほど経ったでしょうか。この間、ゲームづくりの仕事に就きたいと思う学生の皆さんとともに、ゲームをつくるために必要な技術や考え方について考えてきました。 それは、開発現場でつくることに集…

連載第5回「総論の構成 その3――「新致知学」」

三省堂の荻野真友子さんから、三省堂ワードワイズ・ウェブでの「「百学連環」を読む」連載のお話をいただいたとき、当初は隔週くらいでどうかという案があったように覚えています。よせばいいのに、私は毎週でどうでしょうと申し出て、ご覧のように週に一度…

【新連載】ブックガイド、はじめます。

赤井茂樹さん率いる朝日出版社第二編集部が、本日、新しくブログを開設しました。 読み物や新刊・イベント情報を中心に、不定期に掲載・更新していきます。『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』『単純な脳、複雑な「私」』『死刑』『がんのひみつ』『心脳…

第3回 潜在するもの/顕在するもの

「映像文化論」第3回は、「潜在するもの/顕在するもの――コンピュータ・グラフィクス」というテーマで、映像について考察しました。 今回と次回の2回を使って、映像の「潜在性」について考えてみようという趣向です。 今回は、「潜在性」という言葉そのもの…