art

「窓」から見える永劫回帰

どこかの窓から外を見ている。よく晴れた日だ。 目の前には草地が広がり左手に木の枝が風にそよいでいる。その向こう、水平方向に道が延びている。その奥にはたぶん河川があって、さらにその先の対岸に道が、やはり水平に走る。その奥には木々と住宅が並ぶ。…

筆跡に宿るもの

その部屋に入ると、壁に何枚かの紙が貼られている。また、部屋に置かれた二つの台にもそれぞれ紙片が置かれている。 壁に近づくと、貼られた紙が、手紙だと判る。事前に案内を読んでいるせいもある。しかし、そうした知識がなかったとしても、おそらくその紙…

ミース・ファン・デル・ローエといえば、建築会館ギャラリーで「ミース・ファン・デル・ローエ生誕120年展——モダニズムの原点」が03月25日からはじまった。会場を下記のように7部で構成しているとのこと。 1.ヨーロッパ時代 2.ターニングポイント 3.新…

★「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部 [混沌]」(東京都写真美術館) 写真の誕生を概観する第1部、19世紀末から1930年代のモダニズムの時代を検証する第2部、日本の1930年代から1960年代における写真史の紆余曲折を12名の写真家の仕事で辿った…

ギュスターヴ・モロー展

一分のスキもなく完成された、という絵ではない。むしろ、どの作品もどこか途中で筆を擱いた、という余韻のようなものが残っている。ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826-1898)には、それでいて一度目にしたら忘れることのできない作品がいくつもあ…

★「ブラッサイ——ポンピドゥーセンター・コレクション展」(東京都写真美術館) 2005年08月06日(土)〜09月25日(日)の会期で、ブラッサイ展が開催されている。 パリのポンピドゥーセンター(フランス国立近代美術館産業創造センター/ジョルジュ・ポンピド…

★「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第3部 [再生]」(東京都写真美術館) 全4部で写真の歴史を概観する写真展シリーズ「写真はものの見方をどのように変えてきたか」の第3部「再生」が東京都写真美術館で開催されている。 写真の誕生を概観する第1…

★「レオノール・フィニ」展(ザ・ミュージアム) 2005年06月18日より07月31日まで、渋谷東急Bunkamura ザ・ミュージアムでレオノール・フィニ(Leonor Fini, 1907-1996)の回顧展が開催されている。 1907年、ブエノス・アイレスに生まれたフィニは、物心つく…

★「写真はものの見方をどのように変えてきたか 2 創造」(東京都写真美術館) 東京都写真美術館が開館10周年を記念して企画した特別企画展「写真はものの見方をどう変えてきたか」の第二部「創造」が開催されている。 同企画展は、写真の歴史を全4部の構成…

『InterCommunication』誌によると、2005年07月22日(金)から10月02日(日)までの予定で、「ローリー・アンダーソン——The Record of The Time」展が開催される模様。 ローリー・アンダーソン(Laurie Anderson, 1947- )氏のジャンル横断的で多様なパフォ…

三鷹市美術ギャラリーで「クールベ美術館展——故郷オルナンのクールベ」が開催されている。 ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet, 1819-1877)といえば、19世紀フランス写実主義の鼻祖と目される作家。「天使は見えないから描かない」が口癖で、農民たち…

★「写真はものの見方をどのように変えてきたか 1 誕生」(東京都写真美術館) 人が写真史への道に踏み込む入り口はいろいろあると思うけれど、たとえば蓮實重彦(はすみ・しげひこ, )氏の大著『凡庸な芸術家の肖像——マクシム・デュ・カン論』(青土社、1988…

★「ジェームズ・アンソール」展(東京都庭園美術館) 東京都庭園美術館ではじまった「ジェームズ・アンソール」展を参観する。 ジェームズ・アンソール(James Ensor, 1860-1949)*1といえば、画面にところ狭しとたくさんの人がわらわらと描かれたボスを想起…

★「ベルギー象徴派展」(Bunkamura ザ・ミュージアム) 2005年4月15日から、Bunkamura ザ・ミュージアム(東京渋谷)にて、「ベルギー象徴派展」がはじまった。 19世紀後半のフランスの文学界に震源地をもつ象徴主義(symbolisme)の潮流に平行して美術の世…

★「ジョルジュ・ラ・トゥール展」@国立西洋美術館 #つづく

★「小林伸一郎写真展——ビルディング ザ シャネル ルミエール タワー」 2004年12月、銀座三丁目にオープンしたシャネル銀座ビルディング(設計=ピーター・マリノ)の旧ビル解体から新ビル建築の過程を、廃墟の写真家・小林伸一郎(こばやし・しんいちろう, 1…

★「グローバルメディア2005 おたく:人格=空間=都市」 東京都写真美術展で開催中の「グローバルメディア2005 おたく:人格=空間=都市」を参観する。 昨年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展に出展された日本館の展示を再構成したもので、会場には食玩、…

★「踊るサテュロス」 1998年にシチリア島沖の海底からひきあげられたブロンズ像「踊るサテュロス」が東京国立博物館で特別展示されている。紀元前のギリシアでつくられたと推定されているこの像は、デュオニソスの従者サテュロス(森の精)が踊るさまをかた…

世田谷美術館で「瀧口修造:夢の漂流物——同時代・前衛美術家たちの贈物 1950s〜1970s」展が開催されている。2005年2月5日からはじまったこの展覧会では、詩人、美術評論家、あるいは自らも作品した瀧口修造(たきぐち・しゅうぞう, 1903-1979)にまつわる作…

★「岡倉天心――日本文化と世界戦略」@ワタリウム美術館 このつど、ワタリウム美術館ではじまった「岡倉天心展――日本文化と世界戦略」は、絵画、原稿、著作、日記、書簡、弟子や関係者の作品を中心に天心岡倉覚三の生の軌跡を検証する試み。鞄に岩波文庫版の…

★「痕跡――戦後美術における身体と思考」 #つづく

光の彫刻

★「田原桂一――光の彫刻」@東京都庭園美術館 目黒の庭園美術館で開催されている美術作家・田原桂一(たはら・けいいち, 1951- )の個展に足を運ぶ。ガラス、石灰岩、アルミ、布といった素材のうえに印画された写真は、印画紙へのプリントとは異なって、それ…

★「マルセル・デュシャンと20世紀美術――芸術が裸になった、その後で」@横浜美術館 国立国際美術館(大阪中之島)開館記念として2004年11月03日-2004年12月19日まで開催された国内ひさびさのデュシャン展。デュシャンの作品約70点と、デュシャンに触発されて…

★「フィレンツェ――芸術都市の誕生」@東京都美術館 14-16世紀フィレンツェで生み出された芸術を、絵画/彫刻/建築/金工/織物/医学・科学の観点から選ばれた100点余の作品で構成した展覧会。ドメニコ・ディ・ミケリーノのダンテ像、ミケランジェロの「磔…

★「マティス展」@国立西洋美術館 アンリ・マティス(1854-1964)の作品を「ポンピドゥーセンター・国立近代美術館(パリ)の所蔵品を中心に、油彩、版画、素描、彫刻、切り紙絵など約150点を展示」。東京会場での展示は2004/09/10-2004/12/10まで。 ⇒国立西洋…

★「ベラルド・コレクション 流行するポップ・アート」@東急Bunkamura ザ・ミュージアム ポルトガルはシントラにあるシントラ近代美術館に寄贈されているポップアートの個人コレクション。 ポップ・アートに限らず、20世紀にはいってからの芸術の多くは、見…

★『輝け60年代――草月アートセンターの全記録』(フィルムアート社、2002/11、amazon.co.jp) 「そこは60年代前衛芸術の震源地だった」(秋山邦晴) 2002年に「限定1000部」で刊行された草月アートセンター(1958-1971)の活動記録。錚々たるメンバーによる実…

★ヴェネツィア・ビエンナーレ http://www.labiennale.org/ ★ヴェネツィア・ビエンナーレ 第9回国際建築展日本館 http://www.jpf.go.jp/venezia-biennale/otaku/j/ コミッショナーは森川嘉一郎さん。参加作家は丹下健三 、岡田斗司夫、海洋堂、大嶋優木 、斎…

★「イラストからのコミュニケーション――真鍋博展」@東京ステーションギャラリー ★「リアクティヴィティ――反応=再生する可能性」@ICC

★「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」@池袋東武百貨店 作家をテーマにした展覧会はむつかしい。なにしろ主たる展示物はどうしたって作家の作品、つまりは文章や書簡、よくって愛用の道具や書棚といったものになるからだ。展示される資料にはもちろん手をふれる…